ハル組立 2
1.FRPステッチ&グルー工法とは、その特徴
  合板をパネル材として使用しているステッチ&グルー工法とほぼ同じな方法でそのパネルにFRP単板、コアマットのサンドイッ
    チパネルを使用します。型内で建造されるFRP構造と比較すると;
  a.メリット
   *FRP成形用の型を必要としなく、型の材料費、作業時間が節約出来る、また型作成のノウハウのも必要がない。
   *FRPの素材である、ポリエステル樹脂、ガラス繊維は入手し易く、またその価格も他材料と比較すると安価である。
   *パネル面は平滑に仕上がっているので全面のフェアリングの必要は無く、接合部の部分フェアリングで下地処理作業の時
         間が少なくて済む。
   *FRP船穀などで素材の腐りはなく約20年以上の寿命がある。
  b.デメリット
   *形状に制約があり、二次曲面は不可能である。
   *FRPは鋼性が低く、一定以上の厚みを必要とするため、小型艇では重量増となる。5m以上の艇でしだいにトータルメリッ
        トが生じる。
   *FRPの二次接合箇所の強度に不安がある。---ステッチ組立て、形状保持に必要な最低板厚とし、接合後に増厚し完全
        な二次接合とはしない。
  c.少量生産艇としての応用
    *FRP艇製造には簡易又はFRPメ型が必要で小規模な造船所でも5-10隻同じ型から建造しなければ、型の償却はでき
          ない。現在、ボートの需要は落ち、その数だけの受注は困難で、型償却費の上乗せで船価は上がりまた受注が減り負の
          連鎖におちいっている、そして型に投資する余力がないのが現実である。
    *型を必要としないこの方法であれば1隻がらの受注は可能となり、10隻程度の生産であればコストメリットは優位である。
    *型作りの為の又職人と呼ばれる熟練作業者を必要としない。
        *30ft程度の艇まで応用できると思っている。
BDB-451
2.FRPステッチ&グルー工法の一般的工程
  a.ハル・パネル作成
    a-1 平型作成---最大パネル以上の大きさの平面をポリ合板を敷き作る。
    a-2 現図---平型上にパネルの形状寸法を写し、外形線を描きリセスを設ける。
    a-3 パネルの積層---ゲルコート、ポリエステル樹脂、ガラス繊維で積層する。
    a-4 離型、パネルのトリミング
    a-5 ワイヤー用穴あけ
  b.デッキ・パネル作成
    b-1 デッキ型作成---一定アールの一次曲面をポリ合板で作る。
    b-2 現図---平型上にパネルの形状寸法を写し、外形線を描き、接合用、ハッ
               チリセスなどを設ける。
    b-3 パネルの積層---ゲルコート、ポリエステル樹脂、ガラス繊維で積層する、
               鋼性が必要な箇所はサンドイッチ構造とする。
    b-4 離型、パネルのトリミング
  c.組立作業
    c-1 組立台準備
    c-2 ハル組立 1
      c-21 ワイヤーステッチング---銅線でパネル同士を接合(縫い合せ)する。
      c-22 形状調整---ハルのシアー幅、ネジレなどを修正する。
      c-23 パネル接着---接着剤でパネルの木口部を接着する。
      c-24 フィレッテング
      c-25 接合部をグラステーピングする。
      c-26 接合部をフェアリングする。
   c-3 ハル組立 2
      c-31 ハルを反転、形状確認の上必要に応じ修正する。
      c-32 増厚---船底、キール部をFRPの積層でパネルの厚みを増やす。
      c-33 補強材取付---ボトム、サイドロンジフレーム、エンジンベット、シアー
                     材などの補強材を取付る。
      c-34 バルクヘッド、フロアー材などの取付。
        このあとは一般工程と同じである。
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