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3.エポキシ樹脂の硬化時間の調整
  エポキシ樹脂は熱硬化性樹脂であるので硬化時間はその硬化剤の配合と温
    度により決まります。
  a.温度が低い場合:
    *樹脂缶をお湯の中に入れて暖める。
    *ボート又は材料全体を温風機などでゆっくりと暖める。
     急激に暖めると露結の原因となるので注意する。
  b.温度が高い場合:
    *作業時間が長くなる場合は朝、夕の涼しい時間帯を選ぶ。
1.ボート用エポキシ樹脂メーカー
  *ボート用低粘性エポキシ樹脂メーカーは WEST SYSTEM
     SYSTEM THREE などがあり3Mシルバーチップは約¥1700
      0/3kg。
  *ボート用ではなく、コンクリートひび割れ補修用の低粘性エポキシ樹
       脂がコニシのボンドE206(¥6500/3kg)でボートに使っている場
       合がありますが強度、合板との接着性に問題がなければ価格的にも
       納得出来、今後使用していきたいと思っています。
接着剤として馴染みのあるエポキシ樹脂は本剤と硬化剤を混ぜ合わせる事により硬化し、強力な接着力を持つ樹脂である。それ
以前のボート建造用にはフェノール樹脂系が多く、接着面の平滑さ、圧着力、硬化速さなどアマチュアビルダーには使いずらく、い
ろいろな失敗談も耳にしています。私の知っている範囲では最初にエポキシ樹脂を使った造船所はたぶん東京の隅田川にあった
片貝さんでしょう。今から50年ぐらい前に米国のディポン社から直接取寄せ東京オリンピック用の「ドラゴン」艇に使ったのではな
いでしょうか。エポキシ樹脂はそのマニアル通り使えば高度な技術力、設備も余り必要とせずアマチュアビルダー向きの樹脂とい
えるでしょう。メーカーのマニアルをよく読んでエポキシ樹脂を使いこなしましょう。
ボート用に使用されるエポキシ樹脂低粘性で(500-1000cps)その用途別にコーテング用、積層用そして添加剤を配合した接
着用、充填用があります。
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2.エポキシ樹脂の硬化状態と作業
  a.液状(可使時間):樹脂を攪拌後は液体状態でFRP作業が可能であ
        る。熱は化学反応を促進して硬化を早めるので作業時間を多く必要と
        す場合には表面積が多きな容器に移せば熱がこもらず発散して可使
        時間がのびます。
  b.ゲル状:硬化反応が進み樹脂の流動性がしだいになくなり、片栗粉を
        多くいれたスープのような状態になります、これがゲル化状態で作業
        はもうできません。作業途中でこのようなことになれば大変ですので、
        グラスクロスの事前カット、養生、必要な道具の準備など段取をし、大
        きな面積の場合は分割、仲間に手伝ってむらいましょう。
  c.半硬化:ケル化が進むと曲がり易い柔らかな板状となりカッターナイフ
        で余分なFRPを切取ることが出来ます。切り口が白化する場合はもう
        少し時間をおいてください。
        まだ化学反応途中ですので重ね塗りも可能です。
    d.硬化:完全に硬化するまでには5-10日ぐらい必要とします。この場合
        塗重ね前にサンデングが必要です。