排水量曲線
排水量曲線
*ボートを設計する上で指数のひとつでありこの曲線はボ
ートの性格をも知ることが出来る。横軸は艇の長さを表し、
縦軸は喫水下の面積であるので曲線内は艇の排水量
(重量)を示し又その中心は浮心を示している。
低速艇では最適浮心位置は55%前後、高速になれば
65%前後と変化する。
*曲線(A)は痩せた艇で同じ長さ、幅でも抵抗が少なく容
易に速力を得られるが積載量は少なく、曲線(B)は肥えた艇で性格は逆である、商船で言えばタンカーと旅客船である。
曲線(C)はトランサムが水没している状態で曲線が不連続なので低速域では水圧の変化により泡が生じ抵抗となます。
特に船外機艇でロウイングする場合、乗艇位置は出切るだけ前方にし浮心位置の移動と造泡抵抗を減らし快適なロウイン
グをしてください。
3.ボートの運動性
*ボートの運動性能は喫水下の形状で決まり、ほぼ縦投
影形状で性格が決まります。
*艇を旋回させようとすると(1)の場合スムーズですが、
(2 )の場合は艇前後、喫水下の面積が大きく水の抵抗
により旋回がスムーズにいきません。(1)は狭い場所、
川などで機動力が必要な場合ドリフトボート等に向き、
(2)は逆に水の抵抗により保針がよく、ツーリング、クルージングに向いています。
*風による影響は、喫水上下の面積比で決まります。
喫水上は風の力で艇を横流れさせようとする力が働き、喫水下は水の抵抗でそれを阻止しようとする力が働きます。よって
喫水下の面積比の大きな艇は風による横流れも少なく、沿岸などで風の影響を受ける場合やフイッシング等でポイント移動
嫌う時などによいでしょう。
特殊なケースとしてセールボートがあり、ダガーボート等の喫水下の付加物によりセールに生じた力の横方向の抵抗を受け
止め推力で走ります。
2.ボートの安定性
*ボートの重量を支えている中心の浮力と一般的に艇の重心は浮心より
も上にあり、重心と浮心が同一垂直線上にあれば艇は安定しています。
*右図のようには艇が傾くと水中に没している部分の艇体形状が変
わるので、最初の浮心(B0)は新しい浮心(B)に移動します。重心
位置は変わらないので、重力による下向きの力の作用線と、浮力
による上向きの力の作用線とがずれ、モーメントが発生する。重心
が(G)にあれば艇を元に戻すようなモーメントが発生し、これを初期
復原力と呼ぶ。船の重心位置が高くなると復原力は小さくなり、更
に重心が上がって(G1)の位置になれば、発生するモーメントは逆
向きとなり、船を転覆させます。
*小型ボートにおいて、安定性は非常に重要な課題でそれらはメタセ
ンター(M)が高いほど、重心(G)が低いほど復元力は大きくなります。
*メタセンター高さはボートの幅の2乗、長さに比例しますので、幅の広
い、4角形の水線形状の艇が安定性が高くなりますが推進抵抗、艇
重量増加を招くのでそれらとのバランスが必要である。小型艇の場合
その重心位置を下げる事は難しいが、乗員の重量比率が高いので座
る位置の高さで低くすることができます。
*小型艇においては、その安定性を得るに重員の位置
並び備品、手荷物等の固定が重要です。
1.ボートはどうして動くのか
*ボートが静止状態で水に浮かんでいる場合アルキメデスの原理でボートの水中に没した容積がその重量と等しく浮力と呼ば
れ、その容積の中心が浮心でありボートの重心と一致すれば水平に浮かんでいますが、陸上の乗物と大きく違うのがこの
浮力が働き特に小型ボートでは乗員、荷物等の位置によりボートを傾斜させ、性能、安全性に大きく影響してきます。
*浮いているボートを動かすには動力、人力、風力などの力を加えなければなりませんが、ボートが動くと水との間に抵抗が生
じこの抵抗と加えた力の大小で速力が変わってきます。より早く速らす為には抵抗を減らすか、大きなパワーにするかである。
*抵抗にはボートの接水表面積、表面粗さに比例して大きくなる摩擦抵抗、波を作る造波抵抗、水が剥離し泡となる造泡抵抗
などが混ざりあっています、ボートの速力が遅い場合は摩擦抵抗の比率が高く競技用ボートのような円筒形状の表面積の少
ない方が有利で高速になれば造波抵抗の比率が高くなりいかにそれを減らすかが重要となってくる。
BDB2-013
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